がめつい小学生

僕は小学生の頃、金のために勉強していた。

僕は学校で習う学科に、興味を持って取り組んでいたとはいえなかった。
それより、漫画読んだり、ゲームをしたり、本を読んだり、コンピュータ(家にはなかったから、ネットカフェ等に行っていた)を触っていたかった。
駄菓子も買いたかった。遊戯王カードも欲しかった。
小3からはポピュラー音楽も興味の範疇だった。CDも欲しかった。

僕は、小3までは月500円、小4からは月1000円の小遣いをもらっていた。
月に一度、コミックボンボンとコロコロコミックが出る。

僕はどちらかと言えばボンボンが好きだった。
小4からコロコロも買い始めた。
コロコロは、友達と話を合わすためという側面が強かった。
ただ、その二冊を買えば、丁度1000円くらい使う。
すぐにお小遣いはなくなってしまう。

 

今は無きコミックボンボン
ロックマンエグゼとベイブレードが主力だったコロコロコミック

小3の頃、母親に
「もっとお小遣いをください」と言ってみた。
すると
「テストで100点をとったら1000円あげる」
と母親は言った。

それから僕は毎回のように100点だけを目指した。
時々98点等を取ったならば、カッターナイフと消しゴムや赤ペンを使って100点を偽造したりもした。
80点なんか、ハネられた箇所が多すぎて、捏造ができないから、悔しくて、いつも違う所に捨てていた。
国語のテスト中、漢字が思い出せない時、僕は泣いていた。(漢字は赤ペンで訂正されてしまうので捏造ができない)

そんなふうに、僕はお金のために勉強したし、書類の捏造法を身に着けた。

中学校になると、クラスのテスト成績の順位でお金をもらえるようになった。
1番になった時だけ、お金がもらえた。だから私は死ぬ気で勉強した。

高校もクラス順位が基準だった。
人数が増えたので、10番以内だと、お金がもらえた。
校内テストより模試の方が楽だった。
全国模試は、2ちゃんねるのネタバレスレがあったので、確実に上位の校内順位を取ることが出来た。

大学生になると、特に勉強したからといって、誰からもお金はもらえなかった。
僕は勉強をしなくなった。
奨学金で、沢山好きな本を読んだり、音楽を聴いたりした。

大学を卒業した。
いま、勉強しなければ金銭的にペナルティがある環境で生きている。
だから、生活のために少しだけ勉強している。
ずっと奨学金の返済に追われている。

数値で判定できるテストは無い。
勉強したからといって、特に報酬も出ないので、勉強に対して、あまりやる気が出ない。
気付けばそういう脳味噌になってしまったのだ。

僕にもし、子供ができたならば「テストの成績でお金をあげる」というのはやめようと思う。
多分、お金で釣るのは子供の脳の報酬系を簡単に変えてしまう。
そしてたぶん、その変化は自然には直らないし、直そうとしても直らない。


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