■田舎のファッション総本山
田舎の中学生がファッションに興味を持ち始めた時
その子の家庭所得が中流以下なら
ほぼ自動的に入店するであろうファッションストアがある。
それが「しまむら系ファッションストア」である。
私が利用していた「Avail」はその中の一つ。
私は、上記の店舗を利用していた。
田舎のファッション総本山、Avail だ。
田舎特有の、バカでっかい駐車場。
中学生の私はなけなしの小遣いをはたいて
「HIPHOP系」の服を買っていた。
なんせその時、私はヤンキーグループに所属していたのである。
制服はゆるめに着る。制服のスラックスは太く、裾はかかと辺りまで下ろし、少し地面に引きずるくらいが「オツ」という価値観。
そして私服では通称「ダボ」と呼ばれるボトムスを着る。
これにティンバーランドを合わせれば、もうそれだけで、気分は最高だった。
「ダボ」はこんな感じ。
これはDOG TOWNというブランドのボトムスだ。
僕は、このような「ダボ」を履くのが中学生の頃の夢だったのだ。
裾を引きずって肩を揺らして歩く。その瞬間が叶うことを願って必死にお小遣いを貯めた。
僕は念願の初Availで、上記の写真に似た太くて長いボトムスを買った。
45分間も車を走らせて、数件のコンビニしか通らない生粋の田舎道を送迎してもらう途中、僕は恍惚の表情を浮かべたのを覚えている。
家に帰り着くと早速試着した。
姿見の前で
「コレで思う存分、裾を引きずることが出来る……」
そんな気分でいたときだ。
「あんた、忠臣蔵の袴みたいだね」
洗濯物を持ってきた母が、そうつぶやいたのを覚えている。
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