賃貸物件の家賃を下げるウラ技とは?

生活費の大きな割合を占める家賃

家賃って、大抵、高いですよね。
「自分が住んでいる賃貸は安い」と満足していても、「家賃」というのはそれなりに大きな出費になっていると思います。

そんな固定費としての「家賃」です。

下げられるもんなら、下げたいですよね。

ただし、借主が何も行動しない状態で、家賃が勝手に下がるケースはほぼほぼ無いと言ってもいいでしょう。

「じゃあ、家賃を下げるにはどうすりゃいいの?」

以下に強力なノウハウを記しておきます。



「契約更新の半年前以降に、家賃を下げる交渉」にチャレンジする

まずやることは「家賃減額して欲しい」という意思を大家さんに伝えることです。

その時の理由は

  • 築年数。長年住んでいて、劣化してきた。
  • 相場から見て高い。
  • 設備が悪い。近隣に不便さがある。
  • やむを得ない経済状態の悪化。

など、住環境に合わせて、考えてみてください。

大家さんの性格に合わせてみても良いでしょう。

さて、理由はさておきです。

減額の意思を伝えるには、そのタイミングが大切になります。

そのタイミングとは

契約期間の満了前の半年以降です。

「なぜその期間に交渉するの?」

という疑問があるかと思います。

その理由は以下です。

借地借家法第26条を有効活用する

その理由は、ざっくり言うと

こちらから有利な状況で交渉することが出来るからです。

大家は「更新しない」「家賃アップなど条件の変更」がしたい場合、更新の半年前から一年前までの間に、その通知を借主に行わないとダメです。

その期間が過ぎると「大家側から交渉できる時期」は次の更新まで無くなります。

そのゴールデンタイムを狙って、こちらから家賃交渉するのです。

その交渉内容は「次回更新時は、○○円まで家賃を減額していただけたら更新します」という内容でいいです。

そのような書類を手書きでもWordでも何でも良いので作り、相手側に送付してください。

これでOKです。

家賃が減ったらこれ以降することはありません。

さて、家賃の減額交渉が平行線でまとまらず、契約更新にサインされずに、契約更新の時期を迎えてしまうと、借主は更新料をそれ以降払わなくていい、期間の定めのない契約に移行することになります。

そんな不利な契約を大家は飲みたくないのです。

だからこそ、家賃交渉に応じる動機になります。

借地借家法26条には以下の文言があります。

借地借家法第26(建物賃貸借契約の更新等)

 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

これをざっくり言うと
大家から「更新しない通知」か、「条件変更しなければ更新しない通知」が更新時期の半年から一年前に無ければ
大家と借主の合意があろうがなかろうが、契約は自動的に「無期限延長の更新契約」になるということです。

これを法定更新といいます。

合意があろうがなかろうが、と言いましたが

これは、更新の契約書にサインをしない場合も含まれます。

もし、普通に契約更新の合意を取っていたら、上記の期間の定めのある契約になります。

よく、賃貸は二年ごとの契約期間があり、その都度、契約書が送られてくると思います。

この「期間の定めのある更新の契約書」にサインをした場合、更新料が規定されている場合、更新料を払う契約になっていると思います。

しかし、家賃減額交渉などの最中であり、その契約書にサインが行われなかった場合、借地借家法26条にあるとおり、無期限延長の契約に移行します。

この無期限の契約は、更新料が発生しません。

というのも、双方の合意が発生していないからです。

さてここで

「その法律には、従前の契約と同一の条件、ってあるから、やっぱ更新料払わないとだめじゃないの?」

と思われる方、周りの人からあなたは「お人好しだ」と言われませんか?

まず以下の大前提があります。

更新料というのお金は、新しい契約書(次の二年住みます、という契約書)を交わして、お互いにその内容に合意した場合に、借り手が支払うお金です。

例えば、前に交わした契約書に「契約を更新する場合は、更新料を払う」という項目が存在していたとしましょう。

その内容は、通常どおり契約書を交わして合意更新をしたときにのみ有効で、法的に無条件で成立する法定更新が行なわれたとき、そうした特約は無効です。

契約書をよく読んで見るといいでしょう。

もし、家賃減額交渉を渋ってくる大家がいるとしましょう。(書類を無視するとか、減額は受け入れられないと言う場合)

その時、更新の契約書にサインせず、更新料の支払いを見送っておくのです。

その場合に大家が、借主に更新料を請求するために、契約書のサインを求めてきた場合

「家賃の減額についての話し合いが終わっていないので、こちらが話し合いで合意できましたら、契約書にハンコ押して提出します」

と言えば良いのです。

その後もまだ家賃減額に応じてくれない場合は、さらに奥の手があります。

調停に持ち込む

なかなか減額に応じてくれない大家がいるとします。

その場合に有効な一手があります。

「では裁判所で調停します」

この”裁判所”と”調停”という、「こちらの本気度」を匂わせる言葉がキモです。

実際に調停に持ち込んでも良いでしょう。

調停の手続きは、簡単で、弁護士など不要です。

調停の申立書は裁判所のホームページからダウンロードし、記入して印紙を貼り付けて、送付するだけです。

調停での家賃減額問題の調停委員は、そのへんの不動産鑑定士が就くことが多いらしいです。

調停を数多くとりまとめた委員が優秀と言われるため、大家側へ譲歩しろということが多いのです。

普通、大家は公的空間で譲歩を迫られるアウェー空間まで出たくありませんので、「裁判所」「調停」という言葉が出た瞬間に、減額の可能性はグッと上がるでしょう。

家賃を減らして快適な生活を!

一月、5000円でも下がれば、年間6万浮きます。
二年で12万円です。
「あまり大家と、揉めたくないなぁ」と思う人もいるでしょう。

しかし、そもそも同じ所に何年も住んであげることで大家の悩みのタネである空室を減らし、他の借り手を探す手間と時間を省いて、資産による安定所得を手助けしてあげているのに、絶対に古くしかならない賃貸物件で、ずーっと同じ賃料なのがおかしいのです。

払いすぎたお金を返して貰う気持ちで挑みましょう。

ちょっと勇気を出すだけで、多くの生活を豊かにする収入が得られるのです。
みなさんも、したたかに減額の交渉して、快適な生活を送ってくださいね。


注:「法定更新の場合も更新料を支払う」という内容が契約書に盛り込まれていて、大家側から裁判を起こされた場合、更新料が有効なケースもあるので注意。
しかし、法定更新に自動移行した場合に、更新料を求める裁判は、大家側も弁護士費用も発生し、必ず勝てるとも分からないものなので、裁判まで行かずに、大家側が折れる割合が高いと見られる。

 

東京地裁令和2年7月31日判決


本件賃貸借契約において、原告と被告会社は、更新料について、「甲(原告)乙(被告会社)の合意により本契約を更新する場合には、乙(被告会社)は相当の更新料を甲(原告)に支払う」(本件更新条項)と定めており、かかる文言によれば、原告と被告会社が、本件賃貸借契約を合意更新する場合に、被告会社が原告に対し、相当の更新料を支払う旨の合意をしたと解するのが相当である。
本件において、本件賃貸借契約が合意更新されていないことは争いのない事実であるから,合意更新の場合について定めた本件更新条項は適用されないというべきである。
なお原告は、法定更新の場合には、賃借人は更新料の支払を免れるとすれば、合意更新の場合に比して、賃貸人との公平が著しく害されると主張するが、原告自身が、合意更新の場合に更新料を支払うと明記した本件更新条項に合意したのであるから、原告の前記主張は採用できない。


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